財布を落とした編 ③
JESSEから振込完了とでたネットバンキングのスクショが送られてきました。
後々分かるのですが、これが手口の一つでした。
お金があると相手に思わせて安心させ、相手からの協力を引き出す。
困っている相手を助けてあげたいと思う、善良な心を悪用するやり方です。
私は、このスクショが送られてきて、動揺したと同時に
まず、私はこんな大金を悪用しようとするような人間じゃないよと相手に信用してもらわないといけないと思いましたし
本人にお金がちゃんとあるのだとも思いました。
本当に今、困っていて都市銀行を持っている私しか助けてあげられることは出来ないんだと理解してしまったのです。
実際には日曜日だったので、MUFJの口座に反映されませんでした。
私は、105万円という大金を振り込まれてしまったことに動揺し、月曜日に、ちゃんと返さなければとも思いました。
同時に本当に困っているのだと思いました。
なんとか解決策を見つけてあげたい、どうすれば良いのだろうと真剣に考えていました。
でも、自らが申し出て、お金を貸してあげようという発想には一切至っていませんでした。
財布を落とした編 ②
10月6日(日)
朝から電話でJESSEと前日の件を、相談されていました。
JESSEの言い分はこうです。
・財布を落としたことにより、クレジットカード・キャッシュカードが全て止まってしまっているから自分はどうすることも出来ない
・月初が取引先に支払う締め日が集中している
・今日、現金で支払いをしなければならない取引先がいる
JESSEはまず、私のメインバンクがどこかを聞いてきました。
私は、MUFJのネットバンキングを使用していました。
MUFJのネットバンキングは365日24時間、振込が可能です。
その制度を悪用しようと考えたのでしょう(今思えばですが…)
JESSEは、
「今、手元に楽天銀行だけは使える状態で残っている。自身の口座の海邦銀行から楽天への振り込みは、日曜日だから実施しても月曜日になるだろうけど、MUFJなら出来るかもしれない。
まずは、自分の手元にある105万円を海邦銀行から私の口座に振込むから反映されるか確認してくれないか。
反映されたら、その金額を楽天に振込んで欲しい」と言ってきました。
財布を落とした①
10月5日(土)
JESSEから2日ぶりにLINEが来た、10月5日(土)。
私はお気に入りのカフェで仕事をしていました。
15時頃、JESSEから電話がかかってきます。
財布をなくしたこと、そこからどうやって打開したのか、大阪出張での出来事など
たわいもない話をしたことを覚えています。
その場では全てを話しきれなかったので、自宅に帰ってからまた電話をすることにしました。
その夜、財布をなくしたことにより、キャッシュカード・クレジットカードが全て止まっているから、取引先に支払いが出来ずどうしようか悩んでいるとの相談を受けたと思います。
ここで、JESEEのプロフィールについておさらいです
◆1989年6月生まれ
◆不動産関係の会社を経営している
とても大変なことだと思い、助けてあげたい、一緒になって考えてあげたいと
その時の私は思いました。
戻れるならば
JESSEから財布を落としたと連絡をもらって、すぐにお金を工面してくれ、だとか
助けてくれだとか言われたことはありませんでした。
JESSEは、自身の腕時計(ロレックス)を質屋に持っていって現金にして凌いだというのです。
身分証明書は、たまたま船舶免許証を持っていたからそれでうまくいったと。
確かにそのやり方ならばお金をつくることが出来てて、頼る人がいない出張先でも、何とかなるなと思いました。
私はほっと一安心し、無事に打開出来て良かったと思いました。
仕事が忙しかったのか、2日ほどLINEの返事は返ってこず、
2日後の10月5日(土)からお金の要求が始まっていきます。
2月現在の自分は、本当に時間が戻るなら、この時の私に教えてあげたいと切に願います。
これまでも辛いことは苦しいことは沢山あったけれど、家族や友人がいて、そして安定した会社に勤めていて、入社してから10年間きちんと積み立て貯金もしていて…
なんて幸せな日々だったんだろうと思います。
こんな簡単に人生は他人に狂わされてしまうものなのかと。
人生のどん底というのは、こういうことを言うのだと、実感しています。
全ての始まり
宮古島の居酒屋で出会った私たちは、自然とお互いに好意を抱いていたと思います。
LINEを交換し、毎日のように連絡を取り出しました。
たわいもないことを報告しあい、お互いの理解を深めあっていく。
そんな日々が続いていました。
そんなある日、JESSEからこんなLINEが届きます。
「関空着いた!」
「着いてソッコー交番にいます」
内容は、財布を落としたというのです。
私は東京在住なので、もちろん何もすることは出来ません。
今となっては、これも本当のことだったのか、嘘なのかはわかりません。
これから、捜査が進んでいくにつれて明らかになっていくと思いますが、
この「財布を落とした」ということから、全てが始まってしまうのです。
JESSEの印象
店員さんの声かけによって、席をご一緒することになった私たち。
第一印象は、「沖縄の人っぽいな~」でした。
伸長は160㎝くらいで小太り、顔がまさに、沖縄人。
JESSEとその友人と私たち4人で約1時間~2時間程度、一緒に楽しみました。
自己紹介に始まり、仕事のこと、趣味のこと、恋愛のこと…
すごく盛り上がり楽しかったです。
特に仕事の話では、自分は不動産関係の会社を経営していて、全国を飛び回っていること、すごく真剣に仕事の話をしていたのが印象的でした。
iPhoneのWalletアプリにたくさんのフライトチケットを確認することが出来て、それが本当のことなんだと思いました。
私は沖縄が大好きで、いずれ移住したいと考えていたので、地元の人と知り合えたことが嬉しかったのです。
また、仕事に真剣な姿勢にとても好意を抱いたのでした。
JESSEとの出会い
私の趣味は旅行で、特に沖縄が大好きです。
沖縄では主にマリンスポーツを楽しみ、今回の旅行も八重干瀬へのダイビングが旅のメインでした。
八重干瀬でのダイビングを楽しんだ夜は、美味しいお酒と沖縄料理を満喫するのがいつものパターン。
今回の旅行もその予定で、19時頃より宮古島の繁華街にて友人と一緒に居酒屋のカウンターでお酒と食事を楽しんでいました。
その居酒屋には、なぜか自転車のベルが置いてあり、友人がふとした瞬間にそのベルを「チン」と鳴らしてしまうのです。
お酒も入っている私たちは、それが楽しくケタケタ笑っていました。
そうすると突然店員さんがテキーラのショットを二つ、私たちの前に出してきたのです。
そのベルはなんとテキーラを頼むときの専用のベルで、私たちはそれを知らずチンと鳴らしてしまったのでした。
店員さんと「そんなの頼んでないですよ~」などと笑いながら会話を楽しんでいると、その店員さんが私たちが座っていたカウンターの後ろのテーブル席に座っていた男性二人に声をかけました。
「テキーラ飲みますか?」と。
そのテーブル席に座っていたうちの一人がJESSEだったのです。